大腿骨頸部骨折の麻酔は硬膜外麻酔、脊髄くも膜下麻酔(エピスパ)がよい

整形外科の2次救急当番日。
サッカーでの捻挫、孫と遊んでぎっくり腰、スケートで骨折。。以下省略
とにかくいろんなひとが来ます。みなさん活発でよろしいこと。
そして、まけじと救急車で列をなして押し寄せるのが、

大腿骨頸部骨折の老人の皆様 (´Д` )

おばあちゃん、冬の最中に雪道歩いてすっ転んだんでしょうか?
「いえ、家の中で転びました。」
(´Д` )(´Д` )
こりゃ、どうしようもないわ。。

大腿骨頸部骨折とは

大腿骨頸部骨折は大腿骨のくの字になったあたりが
ぽきっと折れる骨折で、
*イメージ
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骨粗鬆症に伴って頻度が増加します。
若いひとなら、骨折なんて固定しておきゃかってになおるしょ!て感じですが、
やっかいなのは、高齢者の場合この骨折のあとに
要支援になる人が12%、要介護になる人が9.3%と

これをきっかけに寝たきりになってしまう人がとても多いのだそうです。

それを防ぐためにすぐ手術してリハビリするわけですが、

手術するときには麻酔をかけるわけなんですが。。。

大腿骨頸部骨折手術の麻酔方法

麻酔方法については、ざっくりいうと2種類の方法があります。
1:おとなしく全身麻酔をかける方法
2:全身麻酔をかけない、つまり硬膜外麻酔と脊髄くも膜下麻酔(通称エピスパ)でやる方法
そもそも寝たきりにならないために手術をするのですから、なるべく体に優しい麻酔をしたいものですよね。
でどっちがよいのか?についてこんな論文でてました。

 全身麻酔 vs. エピスパを検討した研究

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PMID 25608641

これは、股関節置換術についてですが、長期の大規模な後方視的コホート研究です。台湾の7977名を対象として、エピ、スパ群(=neuraxial anesthesia)と全 身麻酔群(=general anesthesia)
で術後の生存率を10年以上にわたって調査しています。

エピスパで生存率が良好

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最初は生存率にほとんど差がないのですが、
10年あたりからエピスパが優勢になってくるみたいですね。

そのほかにも、コストや入院期間もエピスパに軍配があがっているようです。

理由の考察はイマイチ。疑問も。

理由はあんまり考察されていないんですが、
全身麻酔が長期的に影響するんでしょうかね。
あとは、エピ、スパ中のsedationはどうしていたのか?
全身麻酔にエピ併用はありなのかなどの疑問は残ります。

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