私が体験した第57回麻酔科専門医認定試験 口頭試問、実技試験の様子についてお話ししたいと思います。ざっくり思い出せた限りですので、追加などありましたら教えていただけますと幸いです。
受験票
受験表は大体8月末にメールで通知が送られてきました。ホームページには8月中旬と書いてあるのでけっこう遅くて、やきもきしました。
受験票自体は麻酔科ホームページのマイページの中からダウンロードする形式です。
*ちなみに、筆記試験は台風の日本直撃につき、12月に延期との通達が受験日前々日に各個人へのメールや医局へのメール、ホームページ等で通達されました。ちなみに、それにより生じた費用の負担などは一切ありません。
受験表に集合日時と場所が記入されています。筆記試験については終了時刻がおおよそ予測できますが、口頭試問・実技試験についてはいったいいつ終了するものか予測がつきませんでした。
当日の会場の様子
当日会場となったホテルに行くと、広いロビーに受験生らしき人々がたむろして資料を執念深く眺めていて異様な光景でした。
集合場所に指定された会場内に入ると受験番号ごとに座席が指定されており、着席して待ちます。机の上おいてあるものは以下のようなものでした。
・注意事項が書いた紙と大きな封筒
・バインダーに挟まれた色付きの紙
・番号が書いたネックストラップ
注意事項はA4いっぱいにびっしり箇条書きしてありましたが、要するにスマートフォンやウェラブル端末、タブレット端末等は全て電源を切った上で茶封筒にれて封をし、各自のかばんにしまうようにという内容で、もし音がなったりしたら失格になる恐れがあるとのことでした。(怖)
バインダーに挟まれた色紙は、試験会場まで持って行き、試験項目のチェックシートとして使われていました。
この控え室内では紙の資料は読むことができます。
ちなみにスーツで来ているひとが大多数で、ACLSやる気まんまんでシャツ、ズボン、スニーカー臨んだ自分はやや浮き気味でした。
試験開始
集合時間になると教育担当?の先生からの挨拶と注意事項の読み上げがあり、再び待機後(これ以降トイレに行きたい時には、挙手して、係りの人がトイレについてくるようでした。)に部屋の3分の1程度の人(15人くらいか)が試験会場に移動となります。移動後は控え室にはもどらないとのことで、荷物を全て持参しての移動となります。
移動開始後は、カバンの中のものを自由に出すことは許されず、資料等をみることはできません。
係員先導のもと業務用エレベータにぎゅうぎゅうにおしこまれて指定階までのぼると(2階分が試験会場として貸切になっていました。)番号順に整列させられます。
通常の宿泊部屋の前にそれぞれの部屋の係り員が配置されており、割り振られた番号の部屋の前へ行きます。口頭試問の場合はまず注意事項を言われた後に紙とボールペンが渡され、5分間問題文を読んだりメモをしたりする時間が与えられます。5分経つと一旦紙を返却し入室指示までまちます。
前の試験者が退室して少し経つと、入室指示がでますので部屋に入ります。
部屋はベッドなどが運び出されており、奥に2名の審査員(どこかの偉い先生)がおりテレビがモニタとして設置してあります。
名前と受験番号を言わされた後に着席、試験がはじまります。(持ち時間30分)
試験問題の詳細は別項で詳しく説明します。
時間になると、外から係員扉をあけて時間をつげますのでこれで終了です。
実技試験は症例提示の紙などはなく、そのまま部屋にはいって試験がはじまります。状況などを説明された後に指示された手技をやっていくのですが、途中で幾つかの質問をされます。持ち時間は8分だった気がします。
こちらも試験官は2人です。実技試験は2問で、一部屋1問でした。(減ったのか?)
内容は、同じ時間帯に受験したひとたちで同じ内容の方が数人いましたので、時間帯ごとに変更しているのかもしれません。
最後は、ネックストラップを返却し客室エレベータからおりてそのまま解散となりました。
私の場合は集合時間―解散まで1.5時間程度でしたが、最後の組になった人は2.5時間程度かかったようでした。
口頭試問
5歳身長100cm体重31kgの男児。急性虫垂炎の診断で臨時で腹腔鏡下虫垂炎切除術。4時間前に食事 |
・術前診察で何を聞くか、一般的なもの以外に検査は何をするか
・Xp(胃内液体貯留、小腸に二ボー)を見た上で、導入はどのようにするか。薬も述べる。
・小児の麻酔での成人とのちがい3つ
―術中に気道内圧上昇
・気道内圧あがったが鑑別
―喘息発作だった
・対応
―術後鎮痛として服直筋鞘ブロックすることにした
・どのようなブロックかの説明
・画像をみてブロックする部位を説明 薬剤の選択と量
・抜管時の注意
43歳の女性。体重56kg(ぐらい)。副鼻腔炎で予定手術。3年前に手術を受けた際に手術中の記憶がある。術後の悪心嘔吐があった。 |
・問題点
・麻酔方法の選択と理由
―導入後キシロカインE入りを使用したところ血圧が220台に上昇
・何を考えどう対処するか
ニカルジピンを投与したが血圧が全くさがらない。
・どうするか。
―フェントラミン投与で血圧が下がった。
・何を考えるか
・このまま手術をつづけていいか耳鼻科医が尋ねている。
―褐色細胞腫だった。
・術前に検査しておくことはなんですか。
・術前管理について
―手術後なかなか目が覚めません
・鑑別はなんですか
実技試験
フルストマック状態の迅速導入 |
・試験官の口を実際に見てマランパチ分類を答える(わざと口を開かなくしていた印象)
・迅速導入の準備を行ってください
・挿管困難の予測因子
骨折で脊柱管狭窄症ありの小さなおばあさんに脊髄くも膜下麻酔 |
(うわさでは、硬膜外麻酔と交互に出題だったよう)
・穿刺部位
・選択する薬液量、種類(濃度も)
・研修医に説明しながら
まとめ
・筆記用具はいらない
・時計がapple watchなどのひとは、別の時計を準備
・服装は、スーツが無難
・最後の確認をしたいなら紙媒体での資料が必要
・大きな荷物はクロークに預けて行った方がよい
まだ、筆記試験があるとおもうと本当にうんざりします。そろそろ筆記試験はCBT形式などの導入をした方がよいのではないでしょうかね。。