また、札幌で”救急医療崩壊”につづき”産科医療崩壊”
の記事が踊った。
札幌市東区の天使病院(藤井ひとみ院長、260床)が新規の分娩(ぶんべん)予約を中止したことが15日、分かった。複数の産婦人科医が退職する意思を表明しているためで、同病院は産婦人科の診療体制を大幅に縮小せざるを得ないと判断した。同病院は全道に30施設、札幌市内に6施設ある、未熟児が生まれた際の治療や処置を行う地域周産期母子医療センターの一つ。52床の産科で、年に約千件の出産を扱っているほか、道央で最大規模の新生児集中治療室(NICU)と新生児治療回復室(GCU)計26床を備える。緊急の帝王切開手術など危険性の高い分娩にも対応しており、同病院の受け入れ制限は、道央の産婦人科医療体制に影響を与えそうだ。関係者によると、研修医4人を除く産婦人科医6人のうち、4人が数カ月以内の退職を表明している。4人のうち3人は、北大医学部産婦人科を母体とし、所属する医師を地域に派遣している一般社団法人「ウインド」に所属、または所属していた医師。ウインドなどによると、天使病院の経営側が道内の別の病院で働くウインド所属の医師に対し、天使病院への移籍を持ち掛けたとされる。ウインドは天使病院側に抗議し、病院側は謝罪したという。ただ、離職を表明している医師の1人は「経営側と信頼関係が築けない中で、リスクが伴う周産期医療は続けられない」と話している。天使病院は「詳細についてお答えできない」と話している。既に分娩予約をしている妊婦に対しても他施設の紹介を始めているという。どうしんウェブ/電子版 2017/06/16
今回の騒動の経緯
つまり、現職の産科医の意向を汲まない人事を病院側が行なおうとしたことにより、産科医側と経営側で折り合いが合わなくなり、産科医側が「信頼関係が築けなくなった」と言う理由で大量辞職を言い出しているというのだ。
事実上の産科崩壊
後期研修医は実労部隊ではあるが、リスクの高い分娩に責任を持つことはできないため、後期研修医以外の産科医が6人中4人辞めるということは、事実上産科は機能しなくなると考えられ、新たな産科医師が確保できなければ、後期研修医も辞めるしかないだろうと思われる。
今回の場合北海道大学病院系列の「ウインド」との軋轢があるわけなので、新たな産科医側を集めるためには、他大学系列、フリーの産科医を当たるしかないわけだが、慢性的な産科医不足がある中での新規人材の獲得はかなり難航することが予想される。
病院側の対応
病院側も産科医募集の難航を認識しているようで、病院ホームページには当面新規分娩予約を行わないばかりか、現在分娩予約中の患者についても他院を紹介する方針が告げられているが、事態の経緯や見通しについては病院側からの発表はまだない。
10年前の繰り返しか?
実は天使病院では、2007年にも似たような経営側との揉め事が起きた過去がある。経営母体の移行への反発が発端で産科医の大量辞職を切り札にし、経営側が辞任、産科医を引き留めるということで幕引きとなったようだ。
今回の新聞記事の出所は?
もちろん、病院HPに分娩予約停止のお知らせが掲示されたことはあるが、新聞記事の内容から推し量るに、おそらく産科医師側からの事情を取材また情報提供された内容ではないだろうか。これに対し、病院側からの病院内外への事情の説明は未だなく対応が遅れていると言わざるを得ない。
今後の道央の産科医療に与える影響
外部からは何か言えたことではないが、最も迷惑を被るのは患者であることを病院側も、医師側も認識し、事態の早期解決と安全な医療の提供を期待したい。
同じ過ちの繰り返しです。何も変わってません。10年前の危機を乗り越えられたのは、実は既定路線を踏襲したからではないでしょうか。何もせず普通に過ごしてたら危機を乗り越えれたとすれば、それは誤った成功体験を植え付ける理由としては十分ではないでしょう。
10年前に反乱を起こした連中に譲歩しちゃったから、一層ワガママが通ると勘違いしたんでしょうね。おそらくこの記事のソースとなった医師も、腕はよくて実力があるけどリアルジャイアンでした。「経営側と信頼関係が築けない」って物は言いようですが、天使病院は産科で持ってるという驕りを生んだのでしょう(事実でしたけど)。
医師は医師の言い分に味方すると思います。でも正論を装った好き嫌いで人事がコロコロ動く組織が健全でないことは確かでしょう。