atropineをゆっくり静注すると徐脈になる?!

atropineは徐脈の薬!研修医でも知ってます。
Nsさんたちも知ってます。学生さんでも知ってるかも。

でも、ゆっくり(少量)投与でより徐脈になってしまうことがあるって知っていましたか?

私は、知ってました!♪(´ε` )←ドヤ顔


ある日の麻酔導入中
私  「atropine1mgいってください!、あ、点滴全開でいってね。
徐脈になっちゃうから( ̄+ー ̄)」←キメ顔

若手Ns「あ、はい!わかりました。」

*******(術中おちついたところで)*******

若手Ns「先生、さっきのatropineて徐脈のときに行く薬ですよね?ゆっくりいくと徐脈になっちゃうってどうしてなんですか〜?こわいですね。」
「う、うんそれはだね・・・

そう聞いたことがあるからだよ@ ‘ェ’ @テヘペロ」

あまりのエビデンスレベルの低さに場を白けさせたのでありました。
おしまい。

これを勉強するには薬理?神経生理の復習から。
まず、神経と神経のつなぎめにはシナプスがあって、
伝達物質を出して情報を伝えます。
迷走神経の伝達物質はアセチルコリン(Ach)です。

迷走神経が興奮が伝達されると徐脈になります。

シナプスのイメージ図

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そして、atropineはアセチルコリン受容体の拮抗薬(受容体にくっつくけど働かない)です。atropineを十分量投与したときは、Ach受容体がatropinに全部覆われてしまってAchがくっつく場所がなくなり、迷走神経の働きが抑制されます。つまり頻脈の方向に傾きます。

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しかし、
atropineが不十分な投与だと、
Ach受容体が少しだけatropinで覆われ、
迷走神経の興奮が弱くなります。
すると、弱くなったことを感じた迷走神経が負けないぞ!と
Achを多く出して補おうとするのだそうです。
(ネガティブフィードバック)
結果としては、一時的にですがより迷走神経が興奮し、
さらに徐脈になります。
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というわけで、徐脈にatropineを使う際には

十分量をすばやく投与する必要があります

ほんとにおしまい★

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