「来月から麻酔科研修なんだがなにすればいいの?」
「とりあえず、挿管とルートとればいんじゃね?」
麻酔科研修を始める前の私の認識もこの程度でした。麻酔科を回る前から「私は麻酔科医ハナになるんだっ!」という意識高い研修医を除いて麻酔科ってとりあえず手技とかやらせてもらえそうだけど、何から勉強していいかわからない科という印象があるのではないでしょうか。ましてや、他の科に決めてるとか、麻酔には全く興味なしという人は「まあ、テキトーに挿管して手術眺めてればいっか」とか思ってませんか?
でもね!盲点を築きましょう。麻酔科研修の間って、
めっちゃ本読む時間あるんですよ!
(*自分調べ)
というのも(施設によりますが)まあ麻酔維持中は安定していればちょっと麻酔の本をめくる時間はいくらでもあるし、外科とかみたいに夜中まで毎日かかるとか呼び出しあるとかないし(*当院では研修医は臨時手術に呼んでない)、土日も休みなんです!
「違う勉強するんで」とか言ってるあなた!一生に一度の麻酔研修になるかもしれないからこそ、この数カ月だけでも麻酔に浸ってみましょう!
そこで今日は、麻酔科医にならなくても無駄にならないであろう教科書というテーマで教科書を紹介していきたいと思います。
ステップ1:とりあえず麻酔科研修をする全研修医向け
まずは、麻酔科研修医のバイブル。お値段もサイズも手頃なこちら。
「麻酔科研修チェックノート」
私も、この本の前版を持っていますが、版を重ねるごとに内容も濃くしかもわかりやすくなっており、たいていの麻酔下研修に必要なことは網羅されている印象です。麻酔の流れや、必要な手技の手順、必要物品、有害事象、、懇切丁寧に書いてあります。おそらく、この内容以上のことを麻酔科研修医に求めることはありません。つまり、これさえあれば(頭に入っていれば)最強です!
また、この本の著者の讃岐先生が新しく出された「やさしくわかる!麻酔研修」もさらっと読めて麻酔の面白さがわかる良書です。
「やさしくわかる!麻酔科研修」
ステップ2:麻酔の流れはわかった。少し特化した教科書
①麻酔、ICUで使う薬剤の使い方や使い分けを勉強したい
麻酔科で使う薬は数がすごく少ないですが(内科とかに比べて)、カテコラミン、麻薬、筋弛緩薬などその薬をよく知っていないととても危険な薬ばかりです。だからこそ、ひとつひとつの薬の効果や使用量、副作用はもちろん半減期や、代謝経路なども知っている必要があります。この本は、各薬剤を丁寧に解説してあり、パッと調べることができます。また、自分で薬を使う上で意外と役に立つのが「通常どれくらいの希釈でつかうか?」です。施設によってのルールを設けていることもありますが、(コメディカルの混乱、誤投与を防ぐため)一例が書いてあるので、自分でオーダーする時に参考になります。
麻酔中だけでなく、術後管理をする上でも重要な薬が載っていますので研修が終わってもきっと役に立つ一冊になるでしょう。
「麻酔科薬剤チェックノート」
②どうしても、手技が苦手です。
効率が良いヒトは概して「見て盗む」ができるヒトです。ただ、それでは銅もうまくいかない。なんどやっても声門が見えない、ルートが漏れる、Aラインが入らない。そんなあなたにおすすめなのがこの本。「一気に上級者になるための麻酔科テクニック」名前負け?いやいや、私はこの本に本当にお世話になりました。(ただ、持って歩いていると”上級医”に笑い者にされます笑)この本が他と決定的に違うのは、なかなか言葉で説明し難い「手技のコツ」を図解しながら理論的に説明してくれることです。失敗した時にこの本に立ち返ることで、どのパターンの失敗だったかを検証し、次に備えることができます。
病棟急変での挿管、ナースが失敗しまくった後のルート取り、任されるのはあなたです。そんな時のために、手術室で克服しておきましょう。
「一気に上級者になるための麻酔科テクニック」
③輸液がわかりません。
これは、私もわかってないです。適切な輸液は麻酔科の永遠のテーマ(いいすぎ?)だと思っています。「輸液を学ぶ人のために」は、麻酔の本ではないのですが、輸液の基礎が詰まった本んだと思います。少々、古い本ではありますが、輸液をこれから学ぼうと思う方には是非一度読んでいただきたい本です。
「輸液を学ぶ人のために」
ステップ3:いつの間にか麻酔に興味が湧いてきた。もう一歩深い理解を
そう。あなたは勉強しているうちに、麻酔にいつの間にか興味を持つようになってきました。もう少し、上級医がやっていることの行間を読みたい。麻酔のココロとはなんぞ。そこまできてくれたあなたにオススメしたいのは、「麻酔への知的アプローチ」。麻酔科医が、どのようなことを考えて麻酔をしていっているか、またいくべきなのかを非常にわかりやすく書いています。いままでの教科書とは一味ちがった、読み物風なところも面白いです。
麻酔中に居眠りする代わりに手に取ってみては?そして、気づけばあなたも麻酔科医志望に?!
「麻酔への知的アプローチ」