輸血は20ゲージ以上って本当?
ある日の仕事終わり。同期との何気ない会話で、
同期:「今日先輩から、『輸血行くから20Gは最低とってね。』っていわれたけど、取れなくてさー。外科に迷惑そうな顔されるし悲惨だったよ。」
私:「いやー。小さいおばあちゃんって血管もろいし、太いルートむずかしいよねー」
同期:「でもさぁ。実際20G以上じゃないとダメなんだろうかね。実際血球ってそんなおっきくないよね?! NICUでは、24Gで輸血してたきがするんだけど。」
私:「た、確かに。太ければ太いほど良いのはわかるけど、ゆっくり輸血するとして何ゲージまで大丈夫なんだろう??」
赤血球の大きさは?
はるか昔に買って本棚を温めていた基礎の教科書を紐解いてみると赤血球の直径は7-8μmだそうです。
24Gの内径は0.37mmだそうなので、大きさ的には十分ですね?
でも、ただ大きさとして通れば問題ないかというとそうではありません。
なぜ輸血で太いルートが必要か?
そもそも、輸血で太いルートが必要なのは
1急速に
2溶血なく
輸血するためで、通常推奨しているのは大人18G, 小児21G以上です。
太ければ太いほど急速輸血に適しているのは自明ですが、溶血が起きる限界は何Gなのでしょうか。
新生児での輸血ルートの推奨ゲージ数
同期さんの言っていたNICUでの輸血推奨ゲージについて調べてみると血液製剤の使用指針 のp48、小児新生児の輸血の項には、
赤血球において大量でない輸血量で、通常速度による滴下なら、24Gまで大丈夫。ただし、溶血の可能性が上がるので点滴中は要観察。血小板は、赤血球より血球が小さいので問題ない。
という主旨が書いてありました。
実際に24ゲージで溶血が起こるかの検証
vitroですがもっと攻めてる論文もありました。
Safety of blood transfusions using 27 gauge neonatal PICC lines: an in vitro study on hemolysis.
これはvitroで27GのPICCカテーテル(20, 30cm)において2.5, 3.7, 5, 30ml/h で溶血を調べたもの。
結果はゆっくりでも早くても溶血率に有意差はなかったそう。
ゆっくりの輸血であれば、意外と細いルートでもいけるんですね。
〔その他の参考文献〕
勉強になります