プラネクタという名の曲者

あ、血圧70台だ!やばい。エフェドリン。エフェドリンと。

げ、酒精綿もってくるのわすれた 汗

おっと!
(Nsにぶつかりそうになる)
あっと!!

(床の電源コードにつっかかる)

もうっ!

プラネクタめっ!!´д` ;


4月はじまりましたね。

新しい職場、新しい手術室、新しい輸液回路!

今更な感じですが、始めてプラネクタ全面導入している環境に
直面いたしました。
プラネクタとは、閉鎖式回路で、薬液を注入するためのポートのような部分のことです。
使い方は下図のように消毒をして、
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シリンジをギュッと押し込んで薬を入れます。
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ちなみに、従来の三方活栓(通称サンカツ)は蓋を外してシリンジを連結、緑色のレバーを倒して薬を入れる仕組みでした。E6B9511C-D157-4D29-8FC9-8FDD2D22A23A
このプラネクタ、従来の三方活栓に変わって徐々に票を獲得しているらしいのです!

一般的なメリット
1)感染防止:解放された部分がなくなること、液だまりができないことで細菌の混入、増殖を防ぐ

2)操作性の向上:保護キャップの開閉などの操作が不要。←慣れれば別に大変じゃない

一般的なデメリット
1)コスト
2)メーカーごとの接続が異なる
3)シリンジを外す時に逆流が生じる

4)ポンピングしにくいのでは←逆流防止弁など手はあるらしい

自分的デメリット
1)酒精綿をいちいち手元に置かなくてはいけない

2)シリンジをつけておけない

つまり、「感染防止」の名の下にプラネクタがコスト度返しで世の中を征服しようとしていることになります。

では、その「感染防止」能力いかほどなのか。

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ICUにおいてはclosed vs openの決着はついているようです。こちら2施設で合計2500名程度の患者での研究。closedの方が感染率が低く、死亡率も低かったようです。25F2CA68-A578-40C1-8449-4D1B6AA05DCA
ただし、これは輸液のclosed system の話で、厳密にはプラネクタの話ではありませんでした。
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*輸液ボトルの瓶と連結部分が解放されているかどうか。

わたしの、できの悪い目(と頭)で探す限り、プラネクタ(これを一般的に英語でなんというかわからないのもあり)についての英語論文は探せませんでした。

日本語の報告では、
40例の後ろ向き研究で、麻酔中にプロポフォール持続注入をプラネクタでおこなった群と三方活栓でおこなった群で、いづれも細菌汚染は認めなかったという報告がありました。ただし、時間が5時間ですから短すぎるかもしれません。
〔臨床麻酔  (0387-3668)26巻7号 Page1129-1130(2002.07)〕
あとは、130例ほどでプラネクタの消毒を様々濃度のグルコン酸クロルヘキシジン、エタノールでおこなって、プラネクタの細菌汚染を調べた報告では、
0.05%以下のグルコン酸クロルヘキシジンでは40%に汚染が認められ、
0.5%では細菌汚染が認められなかった。
未開封のエタノール綿では0.5%グルコン酸クロルヘキシジンと同等の効果があったという結果でした。
ちなみに乾燥しかけたエタノール綿は消毒効果なし。
(三方活栓は汚染率が33-75%らしい *出典不明)
〔手術医学2002;23(1)〕


これを総合すると。

★ICU等でclosed systemにすることは感染防止に効果的でありこれは麻酔領域にも拡大して有効と考えるとができる

★ただし、プラネクタの消毒を徹底しなければ意味がない。

酒精綿は手放すべからず。

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