術中血圧は絶対値を目安にするべきか?術前の相対値を目安にするべきか?

Anesthesiology 2017; 126:47-65

PMID: 27792044

ABSTRACT

Background: How best to characterize intraoperative hypotension remains unclear. Thus, the authors assessed the relationship between myocardial and kidney injury and intraoperative absolute (mean arterial pressure [MAP]) and relative (reduction from preoperative pressure) MAP thresholds.

Methods: The authors characterized hypotension by the lowest MAP below various absolute and relative thresholds for cumulative 1, 3, 5, or 10 min and also time-weighted average below various absolute or relative MAP thresholds. The authors modeled each relationship using logistic regression. The authors further evaluated whether the relationships between intraoperative hypotension and either myocardial or kidney injury depended on baseline MAP. Finally, the authors compared the strength of associations between absolute and relative thresholds on myocardial and kidney injury using C statistics.

Results: MAP below absolute thresholds of 65 mmHg or relative thresholds of 20% were progressively related to both myocardial and kidney injury. At any given threshold, prolonged exposure was associated with increased odds. There were no clinically important interactions between preoperative blood pressures and the relationship between hypotension and myocardial or kidney injury at intraoperative mean arterial blood pressures less than 65 mmHg. Absolute and relative thresholds had comparable ability to discriminate patients with myocardial or kidney injury from those without.

Conclusions: The associations based on relative thresholds were no stronger than those based on absolute thresholds. Furthermore, there was no clinically important interaction with preoperative pressure. Anesthetic management can thus be based on

intraoperative pressures without regard to preoperative pressure.

 

背景:術中低血圧の特徴を明らかにするにはどのようにするのが最善の方法かは不明である。したがって、著者らは心筋および腎障害と術中絶対閾値(平均動脈圧[MAP])および相対閾値(術前からの血圧の低下%)との関係を評価した。 方法:術中の低血圧を最低血圧が絶対/相対閾値より低い時間の累積、または絶対/相対閾値より低い時間加重平均で定義し、ロジスティック回帰を用いて各関係をモデル化した。さらに、術中低血圧と心筋または腎障害の関係が平常時のMAPに依存するかどうかを評価した。さらに、C統計を用いて、心筋および腎障害に対する絶対閾値と相対閾値との間の関連の強さを比較した。
結果:65mmHgの絶対閾値以下のMAPまたは20%の相対閾値は、心筋および腎障害の両方に関連していた。どの閾値においても、長時間の低血圧曝露はオッズ比の増加と関連していた。手術中の平均動脈血圧が65mmHg未満の低血圧で心筋または腎障害発症するかは術前の血圧との間に臨床的に重要な相互作用はなかった。絶対/相対閾値で、心筋または腎障害を有する患者を発症する患者を区別することができた。 結論:相対的な閾値に基づく関連は、絶対的な閾値に基づくものより強くなかった。さらに、術前圧迫と臨床的に重要な相互作用はなかった。従って、麻酔管理は術前圧力に関係なく術中圧力に基づくことができる。 このトピックについて既に知っていること 以前の研究では、低平均動脈圧(MAP)と臓器傷害との関連性が示されており、低圧は分単位または様々な絶対閾値を下回る積分圧で定義されています。 この研究では、単一の施設からの遡及的データを用いて、心筋および腎障害と術中絶対(術中MAP)および相対(術前圧迫からの低下)MAP閾値との関係を評価した。 この記事では、それが新しいことを私たちに伝えるもの 相対平均動脈圧閾値に基づく相関は、絶対閾値に基づく相関よりも強くなかった。さらに、術前血圧と臨床的に重要な相互作用はなかった。これらのデータは、麻酔管理が術前血圧に関係なく術中血圧に基づくことができることを示唆している。

*一部わかりやすいように意訳を試みております。


高血圧患者の術中血圧をどれくらいに保つべきなのか?
これも何気なくいつも疑問に思っていることなのに、わからないままにしていることの一つでした。
それにしても、難しい解析してますよねー。やはりこういう研究にはデザインの段階から統計専門家がしっかりついてアドバイスしているんでしょうかね。
[この研究結果で日々の臨床にかせること]
①MAP65mmHg以下のお血圧30分放置するなかれ
②術前血圧が高いか、低いかで術中に保つべき血圧に差はない
③MAP50mmHg以下の高度な血圧低下は5分以上放置するなかれ

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