カテコラミンの使い方や種類は確立された絶対的な使い方というものはなくて
施設や、麻酔科医によって考え方が違っていたりします。
かつて腎保護を掲げてもてはやされたドーパミンは、その売りを覆す「腎保護効果はない」という報告(CHEST2003;123:1266-1275)などによって業をひそめるようになり、
sepsis surviving campaign 2012でも推奨されたノルアドレナリンの存在感が増しているようです。
ノルアドレナリンはほとんど純粋なα刺激薬で、血管収縮によって血管抵抗を上げ、昇圧作用を示しますが、大量に使うと臓器血流の減少や、後負荷の増大などが問題になります。
私も、ノルアド使うなら、締まり過ぎるから血管拡張薬を併用するんだぞと言われて育ったのですが、ずっと疑問に思っていたことがあります。
締めたいのに、広げたら意味なくないですか?
メリットとして考えられるのは調節性が良くなるとか、血管選択性があるとかでしょうか。
あまり明快に示してくれた教科書には出会っていません。
その点では、この論文がなるほどと思いました。
PMID: 11324717
これはマウスのモデルでノルアドレナリンやノルアドレナリンとプロスタンディンを併用した場合の肝臓の薬物代謝を調べ他報告です。これでは、併用群の方が薬物代謝が良かったという結果でした。
その理由として、
- 肝血流への再分布によって肝臓での薬物代謝が上がった
- 薬物の肝細胞内への移行の増加
- 肝細胞の酵素活性の増加
が挙げられています。
ニトログリセリンや硝酸イソソルビドなどの他の拡張薬を使う説明にはなりませんが、少なくともノルアドレナリンにプロスタンディン併用の時のアンビバレンツな抵抗感は少なくなる気がします。